一休は17日、東京都港区の同社本社で報道機関を対象とした事業説明会「一休メディアカンファレンス2018」を開き、宿泊事業、レストラン事業、バケーションレンタル事業、スパ事業について各サービスの内容や事業戦略を発表した。
榊淳社長は同社の特色を「ハイエンド市場に特化した尖ったビジネスで成長を続けてきた」と説明。顧客ターゲットを絞り、「日本国内の富裕層が高級宿泊施設や高級レストランなどを最も快適に予約できるサイト」として楽天トラベルやじゃらんnetとの差別化戦略を採ってきたとした。
一休の契約宿泊施設数は、国内宿泊施設約8万4千軒の5%弱に当たる約5千軒。契約宿泊施設総数の拡大の可能性については、一休が規定している一定の品質を満たさない限り新規の契約はしないと明言し、量より質を追求する姿勢を明確にした。
ロイヤリティプログラムについては、半年間の利用額が5万円までを「レギュラー」会員、同5~10万円を「ゴールド」会員、同10~30万円を「プラチナ」会員、同30万円以上を「ダイヤモンド」会員と区分し、上位グレード会員には、限定プランやプライベートセール、客室アップグレードやレイトチェックアウトなどの付帯サービスを提供していることを紹介。高額利用者ほど特別なサービスを受けられるようにすることで、顧客の囲い込みと利用金額の拡大を図っている。ダイヤモンド会員の年間利用額は平均100万円で、2千万円に達する会員も存在するという。
一休.comで高級旅館を予約する富裕層の特徴については、「文字による説明ではなく、写真を見て直感的に予約している」と明かし、ウェブ販売における写真イメージの重要性を強調した。
同社事業で今後最も大きな成長が見込まれる分野には、レストラン予約事業を挙げた。「2017年における飲食サービスのEC(電子商取引)化率は3.2%。これは約10年前の旅行サービスEC化率と似た状況」と述べ、その根拠を示した。その上で「旅行予約市場はネット予約が一般化し、全体の成長が鈍化しているが、レストラン予約はこれから急激に伸びるだろう」と話し、同社の今後の成長維持への自信をのぞかせた。
事業戦略などを説明する榊社長